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55.第三の座

2006.10.7


 これまたずいぶん以前のお話です。

 私が所属していた吹奏楽団のあるときの練習に、CDのセールスマンがやってきたのです。急を要する練習は無かったので、早めに切り上げて話を聞いたのでした。
 そのCDというのは、ある有名レコード会社の100枚シリーズ物で、全部買うと20数万円であったと思います。当時CD1枚は3000円程度でしたから、それよりは多少安かったわけです。
 こういう100枚シリーズ物は、半分以上のCDは好みの曲ではありませんし、好きな演奏家の演奏である場合も少なく、さらに録音も古い物が多いということで、私としては食指は動かないのですが、まぁ、確かに何か必要があって曲を知りたいときには大抵の曲は見つかるという、百科事典的なメリットもありますので、いずれはあれば便利とは思っていたのです。

 さてそのセールスマンはデモCDを掛けながら、いろいろとわれわれが興味を惹きそうな話をするわけです。そしてこんなことを言ったのです。
「日本人なら誰でも、曲が鳴り始めた瞬間に分かってしまう曲が3曲あります。何の曲か分かりますか?」
 日本人なら誰でも、と言うのは大げさかもしれませんが、それだけ冒頭が耳になじんでいる有名な曲が3曲あるということでしょう。

 まず一曲は分かりました。「運命」の冒頭でしょう。「ジャジャジャ、ジャーン」というのは本当に誰でも分かると思います。世界一有名な交響曲といわれているくらいです。

 二曲目と三曲目は、何か迷っているうちにセールスマンが答えを言ってしまいました。二曲目は、チャイコフスキーの「白鳥の湖」の中の「情景」。これも納得です。オーボエのメロディーがなる前の弦楽器の和音が鳴った瞬間に分かってしまいますね。

 さて、問題の三曲目なのですが、、、
 思い出せないのです。何だったのか。きっと、そのときは話を聞いて納得したのです。誰でも知っている曲。当然私も知っているはずです。でも、思い出せないのです。なにかこう、モヤモヤとして気持ちが悪いですよねぇ。
 
 だれても知ってる有名な曲、つまりベタな曲、考えてみました。

ヴィヴァルディ / 「四季」の春
バッハ / トッカータとフーガ ニ短調
モーツァルト / 交響曲第40番 ト短調の第1楽章
ベートーヴェン / エリーゼのために
シューベルト / 鱒
ロッシーニ / 「ウィリアム・テル」序曲
メンデルスゾーン / 「真夏の夜の夢」の結婚行進曲
ヨハン シュトラウスU / 美しく青きドナウ
ブラームス / ハンガリー舞曲第5番
サン=サーンス / 「動物の謝肉祭」の白鳥
ビゼー / カルメン
ドヴォルザーク / 交響曲第9番「新世界より」の第2楽章 (通称「家路」)
サラサーテ / ツィゴイネルワイゼン
ケテルビー / ペルシャの市場にて
ハチャトゥリアン / 剣の舞

 こんな感じでしょう。でも、「運命」や「白鳥の湖」に匹敵する、鳴った瞬間に分かる曲となると、どれも違うような気がします。
 強いて言えば、モーツァルトかなぁ、と思いますが、それだったらサン=サーンスやブラームスもハチャトゥリアンも、、、となってしまいます。
 うーん、本当に分からない。

 インターネットで検索もしてみました。でも、こんな話どこにも出てきません。レコード会社のセールストークで世間的には一般的な話ではなかったのでしょうか。

 どなたかご存知の方がいたら教えていただきたいのです。考え出すと、あらゆることに手が付かず困っております。ベートーヴェンの編曲を進められません、、、、

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