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54.指揮者を見る

2006.10.1


 私は現在、特定の吹奏楽団に所属しておりませんし、エキストラで呼ばれることも滅多にありません(楽器は一年以上吹いていませんからねぇ)ので、演奏中の指揮者を見るというのは、専らコンサートで客席からになります。最近のホールは、パイプオルガン席やベランダ席があるものが多いですから、指揮者の正面や横から、演奏者の視点近い状態で顔の表情やら手の細かい動きを見ることが出来ます。
 指揮のテクニックを身に付けたい(だったらレッスンを受けに行けばいいのに)私にとって、大変参考になることが多いのです。

 楽器を持ってステージに上がっていたときは、指揮者、楽団が一体になって歌う、音楽を作るという感覚があって、自然に体が感情を表すように動いたりするものです。
 で、あるときのコンサートで、聴きながらこの感覚に囚われていることに気がついたのです。体が指揮者の感情にあわせるように、動いているのです。自分は演奏していないのですから、指揮者のオーラ(?)を一方的に受けているだけなのですが、指揮者がどう演奏したいかという考えが良く伝わってきますし、それが分かるとオーケストラと一体になって音楽に浸っている感じがします。
 こうなってくると、これは大変素晴らしいコンサートといえるわけです。

 今まで、一番感じたのは岩村力さんでしょうか。とても表情豊かに歌われていました。下野竜也さんもいい感じですし、もちろん佐渡裕さんだって、、、と挙げていくときりがありませんね。
 昨年聴いた岩城宏之さんの場合は、意外と伝わってくるものは少なかったのです。オーケストラを非常に効率よくコントロールして、必要以上のオーラは放出しないという感じ。オーケストラの方が岩城さんの思いを敏感に察知して増幅していたということでしょうか。オーケストラの方から熱いものがよく伝わってきました。

 逆に、全く何も伝わって来ない指揮者もいます。それどころか「なに考えてんだよ。」とか「それは違うだろぅ。」と思えてしまうこともあります。さすがに、プロの指揮者でそういう人は稀ですけれど。
 そういう指揮者でも、オーケストラはプロなので、いきなり演奏が破綻してしまうことはないのですが、そうなってしまうと音楽的には期待できないので、音色の綺麗さなんかを楽しむことになってしまいます。ちょっと物足りないコンサートですね。

 そういった指揮者のオーラを感じられるのは、やはり指揮者に近い席ですから、チケットを買うときはそういう席を選ぶようにしています。

 これもコンサートの楽しみ方のひとつですね。 

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