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45.拍手するとき

2006.7.29


 #43で拍手のことを書きましたが、今回はその蛇足ということで。

 演奏が終わると拍手をしますが、ここでちょっと困ったことがおきることがあります。通常のクラシックのコンサートでは起きないと思うのですが、地方公演であるとか、アマチュアオーケストラのコンサートで普段はそんなコンサートには行かないのに知り合いが出るから聴きに来て見ました、という場慣れしていないお客さんが多いコンサートで時々起こることです。
 それは、楽章と楽章との間に起きてしまう「拍手」です。

 私が経験しただけでも、
 中学生のとき田舎の市民体育館に来た名古屋フィル。多分、この日のお客さんは楽章の間で拍手はしないことはわかっていたと思います。しかし、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番の第1楽章で拍手が起きてしまいました。長い上に盛大に盛り上がって終わるので、曲が終わったと思ってしまったのでしょう。無理もありません。
 学生のとき富山市(ウチの田舎から見れば大都会!)に聴きに行った、フィリップ・ジョーンズ ブラス アンサンブル。曲名は忘れましたが、何かの組曲で、一曲毎に拍手が起きてしまいました。しかも、ホール全体から。つまり、場慣れしていない人ばかり?。これには、フィリップ・ジョーンズもステージの上で肩をすくめ手を広げる例の「困ったポーズ」をしておりました。
  最近では、NEC玉川吹奏楽団のコンサートでも。グリエールのホルン協奏曲で。特に熱心なお子様連れのお父さんがいました。一曲毎に拍手をするものだと頑なに信じているようでしたが。周りの人が拍手していないのに気付かないのでしょうか?

 初めてクラシックのコンサートを聴くという人を連れて行ったときに、
「いま4曲やったんですけど、拍手は最後だけですか?」と訊かれたことがあります。やっぱり知らない人にとっては訳のわからないことなのでしょうね。

 では、絶対に拍手してはいけないかというと、そうではなく、大変素晴らしい演奏で感極まってしまえば、いた仕方ないとなります。チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」の第3楽章で拍手の起きたのをFM放送で2度聞いたことがあります。

 それどころか、曲の最中に拍手しても良い?曲があるらしいのです。聞いた話なのでどこまで正しいか確証が取れないのですが、チャイコフスキーの交響曲第5番の終楽章、ヴェルディーの歌劇「運命の力」序曲なのです。両曲とも終盤盛り上がって一旦全員が休止するところがありますね。フィナーレに突進する前の仕切り直しみたいなところですが、ここで拍手を入れるのだそうです。まぁ、聴衆全員が拍手してしまったら曲を再開できませんから数人というところなのでしょうが、歌舞伎の大向こうの掛け声みたいなものですね。

 逆に、演奏が終わっても拍手をしない曲もあります。モーツァルトの「フリーメーソンのための葬送音楽」です。モーツァルトも加盟していたフリーメーソンのある会員の死を悼んで作曲したもので、追悼のために拍手はしないそうです。(この話、出典がどこだったか探せませんでした。ネットで検索しても出てこないし、私の思い込みだったかな?)

 拍手についてあれこれ書きましたが、いつにもまして取りとめがなくなってしまいました。出典が明らかでない話もありますし、いずれ調べられましたら書き直したいと思います。今回は、これにて失礼いたします。 

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