中学生のころテレビでオーケストラのコンサートを見て思ったことがあります。「あの拍手はいつまで続くのだろう?」と。 演奏が終わると拍手が起こりますね。そして、その間指揮者はステージに出たり入ったりして、そして延々と続きます。本当にいつまで続くのでしょうか。 誰だったか、音楽の先生から「(指揮者が)3回出入りするのが礼儀だな。」と聞いたことがあります。観客も指揮者を3回呼び出せるくらい拍手を続けるのが礼儀ということなのでしょうが、演奏によってはすぐ拍手が終わってしまうこともあるでしょうね。 それでは、その辺の様子の一例を書いてみましょう。とりあえず、素晴らしい演奏だったということで。 …ジャーーーン!!(演奏が終わる) 「ブラヴォーーーー!!」(いくつも、客席から声が掛かる) 指揮者、ソロや活躍したプレーヤーや1人ずつ(あるいはパートごと)立たせて、拍手を受けさせます。一通り終わると、コンサートマスターに指示して全員を立たせ、コンサートマスターと握手してから客席の方を向いてお辞儀をします。そして、一旦ステージ袖に下がります。 ここでひとつ疑問。何故指揮者は真っ先に客席を向いてお辞儀しないのでしょうか。多分、立派なのは演奏者なのだから演奏者を先に、という配慮なのでしょう。客席側から見れば、指揮者が一番偉いと思っているわけですかすら、先にお辞儀をしてくれてもいいと思うのですが。あぁ、指揮者はお辞儀をしたらステージ袖に引っ込むしかなくなっちゃうから、先に演奏者を立たせるのでしょうかね。 (拍手続く) 指揮者、ステージに出てきます(2回目)。コンサートマスターに指示し全員を立たせます。握手。客席を向いてお辞儀。1回目と同じようなを内容ですが、少し時間は短いですね。そしてステージ袖に下がります。 (拍手続く) 指揮者、ステージに出てきます(3回目)。同じようにコンサートマスターに指示し全員を立たせようとします、が、 ここである異変が起こるのです。実際にコンサートに行かれた場合はこの辺を良く見ていてください。 コンサートマスターは「いやいや」をして、立とうとしないのです。そして「この拍手を受けるのはあなたですよ」という感じで、指揮者に向けて拍手をします。演奏者たちも拍手したり、楽器をもっている人は足を鳴らしたりします。すると、指揮者は「俺なの?」って言う感じでおどけた仕草をして客席を向いてお辞儀をします。 この、多少わざとらしいお芝居がなかなかいい感じなのですね。 それからコンサートマスターは全員を立たせます。指揮者はコンサートマスターと握手して、お辞儀して、ステージ袖に下がります。 (まだ、拍手は続く) 指揮者、ステージに出てきます(4回目)。やることは2回目と同じようです。まぁ、他に出来ることもないでしょうからね。 (まだまた、拍手は続く) 指揮者、出てきます(5回目)。本当にいつまで続くのでしょうか?。 ここからあとの終わり方ですが、基本は指揮者が袖に下がった後、もう出てこなくなって、客席が明るくなり、コンサートマスターからステージ袖に下がっていくということになります。このときに演奏者同士で握手なんかしてると、いい感じだなぁ、と思いますね。 そのほかコンサートマスターが女性だった場合(コンサートミストレスといいます)、指揮者が袖に下がるときに連れて行ってしまう、というパターンもあります。 アンコール曲がある場合は、たいてい指揮者が3回目に出てきたときに演奏します。プログラムメインの曲が大曲だった場合はアンコール曲はないことが多いです。逆にアンコール曲が多かった場合は、プログラムメインの曲の出来が悪かったのか?と疑ってしまうこともあります。 そういうわけで、コンサートの終わりの風景を書いて見ました。 さてこれには、ひとつ困ったことがあります。あまり拍手が長いと拍手の音が耳についてしまって演奏の印象の方が薄れてしまうのです。良くない演奏ほど(拍手が少なくて)印象に残ってしまいますね。困ったことです。 |