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17.版の話

2005.10.30


 特に深い考えはなしに、ベートーヴェンの交響曲を全部吹奏楽に編曲するなどということを始めてしまったのですが、まぁ、そうなるとまず必要なものがベートーヴェンの交響曲の楽譜、と言うことになります。
 これはたいていの楽器屋さんに行けば、ミニチュアスコアとかポケットスコアと言って買えるのです。国内で出版している会社は、全音楽譜出版社(全音)、音楽之友社(音友)、日本楽譜出版社(日楽)が代表的です。
 今回は、音友のスコアをもとに編曲しているのですが、進めているうちにいろいろなことが解ってきました。同じ曲でもいくつかの『版』があるようなのです。今までは出版社が違う、程度のことだと思っていたのですがね。
 
 版がいくつもあることで有名なのはブルックナーですが、これは作曲者が優柔不断だったために、「決定版」というのを作ることが出来ず、だらだらといろんな版が出来てしまった、という話を聞いたことがあります。(私はブルックナーは全く聴きませんので、調べることもしませんけど)
 ベートーヴェンの場合は基本的には版はひとつ(本人の意図による大改定は無い、と思う)なのですが、初稿から献呈槁の間で少し修正したとか、出版社が浄書した後でちょっと書き直したとかはあるようです。
 それから、ベートーヴェンはかなりの悪筆だったようで、浄書する人が読み間違える(と言うより正確に読み取るのは不可能だろうなあ)と言うこともかなりあったようです。
 そして、次は研究者と言われる人たちが、上のような間違いを訂正すると称して、自分の好きなように書き直してしまうこともあったようです。ひところの大指揮者たちもかなり編曲したみたいですしね。
 そう言うわけで、いろいろな版が出来てしまったわけです。

 で、最近ではベートーヴェンの意図を忠実に再現しようと言う研究が、これまたいろんな人がやっていまして、いくつかの出版社から新校訂版が出ています。
 その中で最近注目しているのが、ジョナサン・デル・マーの校訂によるベーレンライター版です。かなり、忠実に校訂されているそうです。新し物好きの私としては、是非とも入手したいと思っている今日この頃です。アカデミアミュージックで値段を見ましたが、9曲セットで17600円ですので、べらぼうに高いと言うわけではありません。欲しいなぁ、欲しい、欲しい。

 とか何とか、もっともらしいことを言いましたが、本当のところを言うと音友版では印刷がきれいでなくて(5番、9番の新版を除く)『スコアメーカー4』での認識率が悪いのですよ。新しい版ならきっと認識率が上がると、期待しているのです。あぁ、欲しい欲しい。

 そう思っていたところに、河合楽器さんからバージョンアップの案内が届きました。『スコアメーカー』のバージョンが5に上がり、輸入楽譜やミニチュアスコアの認識精度が上がったと言う、、、これも、欲しい欲しい。


【参考文献】
ベートーヴェンの交響曲の版の問題
http://www.asahi-net.or.jp/~eh6k-ymgs/mindex.htm

ベーレンライターのベートーヴェン全集
http://www.ne.jp/asahi/jurassic/page/talk/baren.htm

アカデミア・ミュージック 『ベートーヴェン交響曲全曲』
http://www.academia-music.com/article/note/beethoven_9_symphonies.php

河合楽器 スコアメーカー5
http://www.kawai.co.jp/cmusic/products/scomwin/index.htm
 

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