それでは、私流の編曲の仕方を書いてみます。別に大した事はしてませんし、秘密でもありませんので。『ベートーベンの交響曲を全部吹奏楽に編曲する』でどこまで進んでいるかが分ることになります。 1.midiデータを作る まず原曲のmidiデータを作ります。 スコアから直接シーケンスソフトに打ち込んでも良いですし、スキャナで読み込んで変換しても良いです。私はカワイの「スコアメーカーver.2.14」を使用しています。変換精度は楽譜の状態によりかなり変わります。ほとんど全部打ち直すページもあります。ver.4.0の『お試し版』を試してみたのですが、変換精度はかなり上がっているので、これも欲しくなってしまいましたねぇ。 ここでは、音符データだけが必要なので速度記号、発想記号、強弱記号などは入力しません。 2.原曲スコアを作成する Allegro2003で作成したmidiデータを読み込みます。譜面の体裁を整え完全に原曲のスコアを作成します。 ここまでで編曲の準備が出来たことになります。結構大変です。 原曲のスコアを作っておくと、後で編曲をやり直したくなったりしたときに始めからやり直しが出来るので便利です。あるいは、原曲の響きに忠実な編曲と、吹奏楽の響きを生かした編曲といった異なるスタイルの編曲をすることも容易です。 Finaleだとコンデンススコアを作るプラグインがあるようです。コンデンススコアが作れると和声の理解が速く出来て便利ですね。欲しいなあ。 3.編曲 編曲作業は結構速く出来ます。何しろカットアンドペースト、コピーアンドペーストが出来ますから。 まずOb.2のパートをSop.Saxへ、Cl.のパートをAlto Saxへ、Basoon2のパートをTenor Saxへ、移します。次にVn.T.U、Va.のパートをEs.Cl.、B♭Cl.、Alto Cl.に移します。Vc.のパートをBs.Cl.、Euphoniumに移します。C.B.のパートをBari.Sax、Tubaに移します。これで全部のパートがもれなく吹奏楽に移ったことになります。 ここから後が頭の使いどころです。本来の編曲作業と言うべきところですね。 音域を越えた楽器をチェック、バランスのチェック、音色を考えて楽器を入れ替えたり、大胆なアイディアを使うかオーソドックスにまとめるか悩むのもここです。 そんなことをしながら、完成に近づけていきます。このあたりで第一槁完成となります。 4.パート譜作成 これはほとんどソフト任せですね。体裁を見て読みにくそうな部分を修正します。 こんな感じで進めていくのですが、曲によって考えることが違いますので違うやり方をする場合もあります。 手書きの時代に比べれば本当に楽になりましたね。音の間違いもほとんど防げますし、パート譜もすぐ出来ます。 私の本職は機械設計で、仕事ではCAD(コンピュータ製図機)を使っています。ベテランの方たちと話をすると「CADは誰が描いても見栄えがいいから若い設計者でもいいものが出来た気になっちゃう。よく見るとひどい図面が多いんだよね。」と言うことばがよく出てきます。 楽譜を作ると言う作業も似たところがあって、私の編曲も見栄えだけの譜面にならないように、注意したいところです。 それにしても、はやくFinale2005を入手したいなあ。 (Allegro2005もリリースされてしまった。ううむ。まあ、買うならFinale2005ですね。) |