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281.仕様 その2

2011.1.29


 前回の仕様の話で、奏法のことまで混ざってしまいましたが、まぁ、楽器の仕様が奏法に関連しているというお話でした。(そうだったか?)

 そして、私はユーフォニアムを一番多く演奏してまいりましたので、この楽器についてはよく知っているとという様なことも書きました。
 ところがですねぇ、よく分からんことがあるのです。

 ユーフォニアムの仕様にコンペンセイティングシステムというものがあります。高級機に装備されているシステムでありまして、私のBesson SOVEREIGN 9672 にも付いております。
 このコンペンセイティングシステムとはどんなシステムかというと、目的は低音域での音程を補正(コンペンセイティングとは「補整」の意味)する物で、第4ピストンを押すと第1~3ピストンを押したときの空気の通り道が少々長い管に切り替わるという物です。
 また、YAMAHAのウェブサイトのEuphoniumのページを見ていただくのがわかりやすいと思います。「ユーフォニアム選びのポイント」をクリックしていただき、下の方を見ていくと「コンペンセイティング・システム」という項があります。

 すでに述べましたが、このシステムは高級機に装備されている物でありまして、このシステムを装備している楽器はそれはもう垂涎の品物でありました。

 ところがですねぇ、最近「コンペンセイティングシステムって必要なの?」という疑問がわいて来ております。
 中級機あたりの4本ピストンの楽器には付いていないシステムですが、それで充分演奏できるのです。といいますのも、ユーフォニアムの演奏音域というものを見ていただきたいと思います。YAMAHAウェブサイトのEuphoniumページの「運指表」をご覧下さい。第4ピストンのある場合という所が、コンペンセイティングシステムが有効になる音域です。低い音域ですね。
 実際にユーフォニアムの譜面を見ていてこの音域が出てくるのは稀です。コンチェルトなどのカデンツァなどで出てくることはあると思いますが、一般的な曲では、ごく少ししか出てきません。
 私も編曲をしているときは、ユーフォニアムにこの音域の音を吹かせるのは躊躇います。第一に吹きにくく、速めのパッセージは無理があります。それに、Tubaでは楽に演奏できる音域ですから、Tubaに持たせた方が妥当なのです。Tubaとは別のフレーズを鳴らす必要がある時にやむなくEuphoniumに持たせるのです。
 さて、そうなってくると、コンペンセイティングシステムって必要なのかなぁ、と思ってくるのです。
 必要だと思われたから発明されて、しっかり普及していると思うのですが、実態としてはそれほど使われていないんじゃないでしょうか。

 まぁ、高級機っていうのは、何にしろたまにしか使わない装備でも立派に付いている物なので、このシステムもそういう物なんでしょうかねぇ。

 しかし、楽器は重くなるし、形が込み入っていてクリーニングがしにくいですし、デメリットもちょっとありますよね。
 でも、お金があってEuphoniumを買うことが出来たら、またコンペンセイティングモデルを買っちゃうんでしょうね。一種のステイタスシンボルでもあります。

【参考文献】
YAMAHA Euphonium

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